一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 ――お見合いの話を持ってきたのは、乾井さんのほうなのに、ここまで興味がない相手と結婚するなんて、なんだかおかしい。

 せめて、どんな服を作ってるのかとか、この先も仕事を続けるつもりなのか――なんて質問があってもいいような気がする。
 疑問だらけのお見合いに、落ち着かない気持ちで服に触れた。
 窓ガラスを見ると、アレンジした服が、私に似合っていて、それを眺めるだけで少しだけ気分が上向く。

 ――さすが、『Lorelei(ローレライ)』。ハイブランド品だし、お嬢様に人気なデザインは、上品で飽きのこないもの。さりげないトレンドを取り入れつつ、長く着れる服になってる。

 これを選んだのが継母ではなく、お見合いのためでもなければ、もっと素直に喜べただろう。
 私が作ったワンピースともらったブーケは紙袋の中にしまわれ、ティールームのクロークに預けてある。
Lorelei(ローレライ)』のワンピースと違って、継母は私の作ったブルーのワンピースをにらむように見ていたのを思い出し、落ち込んだ。
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