一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 ケーキをゴクンとのみ込んだ。

「それより、琉永。俺と初めて出会った時のことを思い出した?」
「えっ! えーと……」

 ――実は覚えていない。
 でも、理世は期待に満ちた眼差しで、私をじっと見ている。
 ここで『思い出せませんでした』なんて、言えなかった。

「も、もちろん。学校主催のショーよね」

 理世はすごく嬉しそうな顔をして笑った。

 ――よかった。当たった。 

 ハズレていたら、どうなっていたことか。
 ふうっと額の汗をぬぐった。
 私の姿を理世が見る機会は限られていたし、外部からの人が招かれる学校の行事はショーしかない。

「そうだ。ショーが終わったら、結婚式をしよう」
「結婚式!?」
麻王(あさお)の一族に、琉永のお披露目をしたいと思っている」
「でも……私のことを受け入れてくれるか、どうか……」

 自信がなくて、不安な顔をしていると理世が笑った。

「大丈夫。ショーを成功させて、兄に認めさせれば、根回しくらいはしてくれる」

 兄とは、『Lorelei(ローレライ)』の悠世(ゆうせい)さんのことだ。

「成功したらなの?」
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