一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
「女性と付き合ったことが何度かあるのですが、どの女性も面倒な相手で、こちらへの要求が多くて、結婚までは考えられなかった」
「それって、自分のいいなりになる奥さんが欲しいってこと……」

 私がムッとして、啓雅さんに言うと、テーブルの下で、継母から足を蹴られた。
 継母が『余計なことを言うんじゃないわよ』と、私を怖い目でにらみつける。
 痛む足と父の冷たい目に、私は黙るしかなかった。

 ――お金で買った妻を自分のいいように使いたいだけ。逆らえない妻なら、楽だって考えてるんだわ。

 結婚生活を考えたら、ゾッとして体が震えた。
 温かい抹茶ラテを頼んだはずが、温くなり、口の中で苦味が広がる。
 目の前に生クリームが添えられたシフォンケーキがあるのに誰も手をつけていない。
 きな粉と黒豆のシフォンケーキ。
 甘く煮た大きな黒豆が黄色の生地にしっかり形を残して焼き上げられている。
 美味しいと評判のティールームのケーキなのに、表面が乾燥してしまっていた。
 それだけ、父と継母は真剣だった。
 お見合いを失敗させるわけにはいかないという必死さを感じる。
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