一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 啓雅さんは気づいているのか、そんな二人を見下し、ふんぞり返っている。

「それでは、この間、言っていた契約ですが、清中(きよなか)繊維さんにお願いしましょう」

 お見合いの席だというのに啓雅さんは契約書をとりだし、すっと父の前に置いた。

「ありがとうございます!」
「よかったわね、あなた」

 二人はホッとした顔をして、手を取り合って喜んでいた。
 顔を上げると、テーブルの上に置かれた契約書が目に入り、泣きたくなった。
 私はこの紙切れ一枚のために両親に売られたのだ。
 目の前の乾井啓雅という男に――契約が無事済むと、素早く啓雅さんは立ち上がった。

「それでは失礼します。琉永さん、今度は二人で会いましょう」

 啓雅さんは早口で言い、私の返事を聞く前に店から出ていった。
 あの人の中で、私の答えはイエス以外ないのだろう。

「いい人だったでしょ? 私に感謝しなさいよ。ちょうど卒業式の写真があったから、それを見せたら、気に入ってくださったの。琉永さん、よかったわね。そこそこの顔で」

 継母が自分の手柄とばかりに微笑んでいた。
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