一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
第7話 エッフェル塔にかかる月
 ――なんて幸せな夢を見てるんだろう。

 ふわりと体が浮いて、リセに体を抱えられたけれど起き上がれない。

「自由に飲ませすぎたな」

 男の人みたいに低い声だけど、リセの声。
 ずっと聞いていたから、私にはわかる。
 リセの甘い香りが心地よくて、ずっとその腕の中にいたいと思った。
 私にとって女神同然の存在となったリセ。
 綺麗で優しくて、男の人みたいにかっこいい。
 ふふっと笑いながら転がった。

「んー……? 転がった?」

 転がれるなんておかしい。
 それに、私が宿泊するプチホテルの部屋となんだか違う気がする。
 お酒が抜け切っていないせいで、思考が鈍っている。

 ――ここは天国かも。

 ふかふかのベッドの上で、思い切り寝返りを打った。

「ふかふかベッド……最高です……」

 ――いつ、ホテルに帰ってきたんだっけ?

「私、どこにいるの?」
「やっと起きたか」

 低い声に気づき、はっとして目を見開いた。
 薄暗い中でもわかる広い部屋。
 肌触りのいいシーツと寝心地のいいベッド。

 ――私が泊っているホテルの部屋じゃない!
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