一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
第8話 今だけは
 夢から覚めた。

「私……」
「男だったから、これでおしまいにしておく?」

 リセから、『それは虫がよすぎるよ』と言われている気がした。
 
「男でがっかりした?」
「そんなことないです。性別に関係なく、私はリセのことが好きです」

 押し倒された体勢で、こんなことを言ったら、まるで私が誘ってるみたいだ。
 リセが微笑んだのがわかった。

「そうか。よかった」

 ホッとしたように見えたのは、私の願望だったかもしれない。
 暗い部屋に目が慣れてきて、リセは男の人だと、今ならはっきりわかる。
 むしろ、どこかで会ったことがあるような気がする――

「やめるなら、今のうちだけど? どうする? 琉永(るな)ちゃん?」

 私を怖がらせないためか、リセは女性っぽい声で言った。
 子供扱いされている気がして、なんだか嫌だった。
 さっきは女性として、私にキスしてくれたのに、今は子供扱いされている。

「や、やめません。私、女でも男でも、リセを好きだと言った言葉に嘘はありませんから!」
「いい度胸だ」
 
 それは完全に、男の人の声だった。
 覆い被さったリセから、深いキスを与えられる。
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