一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
「だって、あれはじょうだ――」

 リセは私の言葉をキスで埋めて消した。
 その優しさに涙がこぼれた。
 好きじゃない相手と結婚するって言ったから、きっとリセは私に同情した。

 ――リセが婚約者だったらよかったのに。

 そんなこと絶対ありえないけど、今だけは夢を見ていたい。
 
 ――私はリセに恋をしている。

 短いどころか、これは一瞬の恋。
 夢になるだけの恋。
 私から、リセの体に触れた。

 ――これが現実にあったことだと、忘れないよう覚えておきたい、
 
 リセのこと、一生忘れないように。
 触れた私の指に、リセは応え、私の涙を唇ですくった。

「琉永。泣くな」
「ごめんなさい……」

 私はリセに謝っていた。
 この夜を思い出にして生きていく。
 
 ――だから、神様。夜明けはもう少しだけ待って。

 キスをした私に、リセはさっきよりも激しいキスを返した。
 舌が唇をなぞり、『開けろ』と命じる。
 命じられるがまま、口を開けると、舌が口内へ滑り込み、舌を引き出す。

「ん……あ……」

 食べられてるみたいなキスに、リセの隠れた激しさを感じる。
 
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