政略結婚かと思ったら溺愛婚でした。
「可愛いですね。とても微笑ましいわ」
「向こうもそう思ったでしょうね」

「え?」
 片倉はきょとん、とする浅緋に笑顔を返した。

「新婚夫婦が仲良く手を繋いで、散歩にでもいくところと見えたと思いますよ?」
 浅緋は自分の顔が熱くなるのを感じた。

「た……確かにそうです」
 否定はしない。
 きゅっと繋いだ手を引かれた。

「子供、欲しい?」
 明るい場所のはずなのに、片倉の妙に隠微な声に浅緋の心臓が音を立てて跳ねる。

「それはいつかは欲しいです」
「じゃあ、作りましょうね、いつか」

 にこっと笑うのはいつもの片倉なので、浅緋は安心したのだ。
 そう……いつかは、そんなことも。

 片倉が連れていってくれたパン屋は奥に小さな喫茶もあって、パンの他、焼き菓子なども提供しているような店だった。

「あ、いらっしゃいませー! いつもありがとうございます。今日は奥様もご一緒ですか?」
 お店に入ると、店主らしき人が片倉に向かって笑顔を向ける。

「婚約者ですけどね。そうです。まだランチはいいですか?」
「もちろん、どうぞどうぞ!」
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