僕惚れ③『家族が増えました』
「もっと……、理人の印で私をいっぱいに……して?」

 ややして、熱っぽく潤んだ瞳でそう懇願(こんがん)された理人は、危うく彼女のその声だけで()きそうになってしまった。咄嗟(とっさ)に、ギュッと唇を噛み締めて、突き上げるように込み上げてきた快感を逃すと、大きく息を吐いて葵咲から一旦離れる。

「……理、人?」

 そんな理人を、葵咲が不安そうな声を出して下から見上げてきて。

「ちょっと待って、葵咲。それ、反則だって……」

 ほぉっと溜息をつくように(たかぶ)る熱を再度吐息に乗せて開放すると、理人は改めて葵咲を見下ろした。

「なんでそこで僕を(あお)ってくるかな」

 理人は片腕で葵咲の両腕を一纏(ひとまと)めにして彼女の頭上に縫い止めると、少し乱暴に押さえつける。

「せっかく優しく抱こうと思ってるのに」

 そこで葵咲に口付けてから、耳許(みみもと)でいつもより少し低音でささやいた。

「それとも何? ――葵咲はひどくされるのが好きなの?」
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