元探偵助手、転生先の異世界で令嬢探偵になる。
「シエラ嬢。色々とありがとうございました」
「は、はい」
返事をする声が上ずる。
レオンが戻ってきてくれたりしないだろうかと少し期待したが、残念ながらそんな様子はない。
とりあえず何か話さなければ……頭をフル回転させたシエラは、推理を語っていた途中で、一つ感じたことがあったのを思い出した。
「ルシウスさん。もしかして貴方……手紙を出した犯人も、先代がどのように死んだのかも、実は予想がついていたのではありませんか?」
「……何故?」
「いや、まあ何となくなんですけど」
いつもシエラが推理を語る時、どんなにポーカーフェイスの人でも少しは感情に動きが見られる。しかしルシウスには、それが全くなかったのだ。
「ふっ、そんなわけがないでしょう」
「気のせいなら良いですけど……」
「それよりシエラ嬢、実はもう一つ依頼したいことがあるのですがよろしいですか?」
「え?ええ。何でしょう?」
「暗号の解読をして欲しいのですよ」
「暗号、ですか」