・LOVER—いつもあなたの腕の中—


「ひとこと言ってくれたらよかったのに」

「上手く軌道に乗る保証もなかったし、もし失敗したらカッコ悪いじゃん」


何時からか。
一緒に居ても四六時中、隆好が仕事のことを考えていた理由が、やっと分かった。
二足の草鞋どころか、三足履こうとしていたのか。

これでは、趣味に逃げる時間だってあるわけがないし、私が隆好の「大切なもの」から、一番最初に弾き出されるわけだ。


「そんなことない。出逢った時から今も変わらず、優羽は俺にとって、特別だよ」


囁くように耳元で告げられ、首筋にキスを落とされる。
久しぶりに隆好の唇の感触を、敏感に感じてしまう。


「……もしかして」

「ん?」


もしかして、隆好が「リュウに惚れるな」と忠告した時。
本当は副社長として、会社を継ぐ気持ちがあったからではないの?


「いつか俳優の仕事を辞めた時、私がリュウの姿をしている隆好に、恋をしていたら困るから」

「一時期、本気で俳優の仕事を辞めようかと考えていた時もあったから、否定はできない。でも今、こうして好きな仕事を楽しんでいられるのも、俳優業をしていた時の資金と、人脈のおかげでもあるしな」

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