・LOVER—いつもあなたの腕の中—


それは、マネージャーさんから「別れろ」と言われていた時だろう。
あの時ばかりは、こんな私でさえも「別れた方がいいのではないか」と、本気で考えていた位だから。
きっと隆好自身が一番悩んだはずだ。


「こっちでも俳優業は続けてるよ、細々と趣味程度にだけど」と口にした隆好からは、ニューヨーク生活が充実し過ごせていたことが窺える。


こちらでの仕事が軌道に乗り次第、私を呼び寄せるつもりでいたことは、日本を離れる前に裕隆さんにだけは伝えていたのだという。

しかも隆好の目が届かない間、私に変な虫がつかないようにと、裕隆さんに私を見張っているように頼んでいたというから驚きだ。


急に辞令が下りたのも、隆好からの依頼に裕隆さんが即座に対応し、動いてくれたと言う訳だ。
そして。
私が住むために手配してくれたという、裕隆さんから手渡された引っ越し先の住所は、というと。


「そりゃあ、俺の部屋に決まってるだろ。続々と優羽の荷物が運び込まれたから、毎晩仕事から帰ったら、ちまちま優羽が使う予定の部屋を片付けてたよ」と、隆好からは当然のように答えが返ってきた。


「今日から、また隆好と一緒に居られるんだ。居ていいんだ……」

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