・LOVER—いつもあなたの腕の中—
尋ねた芽衣に掌を見せ「待った」をかけた深山さんは、私に視線を移し「真島は副社長室に行ってくれ」と指示した。
「副社長室ですか?」
「あぁ、副社長が呼んでる」
「ちょっと優羽、あんた何やらかしたの?」
「さあ、なんだろ?」
なにも思い当たることは無いんだけどな。何かドジった事したっけ?
「直々にお叱りを受けるような、そこまで酷いドジした覚え無いけどなぁ」と不思議がると、芽衣が「そもそも私達って、副社長と顔合わせた記憶ないよね」などと言い出した。
そう言われてみればそうかもしれない。入社式で見かけたのは祝辞を述べてくれた社長と、その奥方で。副社長自身は欠席していて、あの時は名前を聞いただけだ。
以来、仕事上はもちろんのこと直接お会いする機会もなく業務に就いて早数年。
副社長とは、どんな人なのだろう。社内でも副社長の話を聞いたことがないし、私の周囲で顔を見たという人に会ったこともないな。そう考えると、うちの副社長は謎多き人だ。
「えぇー。なんか行くのヤダ、怖いよ」
「ご指名だし、行くしかないでしょ」
「ほら、行った行った」と強引に背中を押され、足を踏み出してしまった。
「副社長室ですか?」
「あぁ、副社長が呼んでる」
「ちょっと優羽、あんた何やらかしたの?」
「さあ、なんだろ?」
なにも思い当たることは無いんだけどな。何かドジった事したっけ?
「直々にお叱りを受けるような、そこまで酷いドジした覚え無いけどなぁ」と不思議がると、芽衣が「そもそも私達って、副社長と顔合わせた記憶ないよね」などと言い出した。
そう言われてみればそうかもしれない。入社式で見かけたのは祝辞を述べてくれた社長と、その奥方で。副社長自身は欠席していて、あの時は名前を聞いただけだ。
以来、仕事上はもちろんのこと直接お会いする機会もなく業務に就いて早数年。
副社長とは、どんな人なのだろう。社内でも副社長の話を聞いたことがないし、私の周囲で顔を見たという人に会ったこともないな。そう考えると、うちの副社長は謎多き人だ。
「えぇー。なんか行くのヤダ、怖いよ」
「ご指名だし、行くしかないでしょ」
「ほら、行った行った」と強引に背中を押され、足を踏み出してしまった。