・LOVER—いつもあなたの腕の中—
「放っておけないと思わせるのも優羽の魅力だけど。もう少し気をつけなよ」

「魅力なんかじゃ、ない」


 腕の中で囁かれた私は、ぼんやりしたまま答えたことに気付き。我に返るなり今の状況を自覚すると、慌てて腕の中から逃げるように身体を離した。


「すみません、ごめんなさい!」


 久しぶりに男性の腕の中で安心して、おまけに結構自分好みの香りに包まれてしまい。不覚にもうっとりしてしまったなんて。何をしているんだ私は。


 この方をどなたと心得る? 恐れ多くも俳優の西田リュウだよ? 安易に触れたりしてはいけない相手に、なにを図々しく二度も助けてもらっちゃってるのさ。


「なんで謝るの? 気をつけるのは無理ってこと?」

「いえ、そういうことじゃなくて……ですね」


 あなたとは仕事上の付き合いであり個人的に親しくしてはいけないわけで。短時間で急接近し過ぎてしまった自分自身に、改めて喝を入れなくてはいけないわけで。
 あくまでも一線を引いて接しなければいけないのだと、言い聞かせたわけで……。

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