甘い夜の見返りは〜あなたの愛に溺れゆく
「君に出逢えたことに、感謝するよ」
湊さんなら…ずっと忘れない想い出となるはず。
「あの…私、男性と付き合ったことがないので、その、色々と初めてなんです…」
目を逸らして、小さな声で囁くと、湊さんはそっと私を抱きしめた。
「凄く嬉しい…ねぇ、次、俺にどうして欲しいか言って」
頬を指で撫でられながら問われた私は、覚悟を決めて、湊さんを見つめて応えた。
「わ、わ…」
「わ?」
「わっ、私の初めての人になってください」
「もちろん。そのお願い聞くよ」
湊さんは、優しく微笑んで、愛おしそうに何度も口づけをした後、優しくゆっくりと時間をかけて、私の緊張した身体を解きほぐした。
「俺のこと、忘れないように身体に刻ませて」
その言葉の通り、湊さんから与えられた初めての経験は、痛みと幸せと喜び全ての感覚を私の心と体に刻み込んだ。

甘い時間が流れゆく中、深く愛された私は、そのまま眠ってしまっていた。
私は湊さんと出逢い、愛し合う喜びを知ることができた。
横には湊さんが、私を抱きしめて静かに寝ている。
初めてを身体に刻んだ想い出は、きっとこれからも忘れない。
湊さんに出逢えて、本当に良かった。
「素敵な想い出を、ありがとうございます」
私は、湊さんからゆっくり体を離し、メモだけ残して、自分の部屋に戻った。
そして、ホテルを後にして、始発で家に戻った。
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