僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
()()も、何もありません。そもそも!」

 そこでグイッと顔を近づけられて、僕は慌てて顔を背ける。

 そんなに近づいたら感染(うつ)っちゃうだろ!

理人(りひと)、病院も行かずに帰って来てるでしょ!?」
 キッと睨みつけられて僕は言葉に詰まった。

 だって、そんな気力なかったし……。
 心の中でそっと言い訳をするけれど、言ったら余計に叱られそうなので言えなくて。

「まだ病院やってる時間だし、私が連れて行ってあげる! だからさっさと支度して?」

 次いで言われたセリフに「え?」と思う。

 ()()()()()()()()()()()……!?

 その言葉を聞いて僕はそういえば、って思う。
 葵咲(きさき)ちゃん、車がないから普段は乗らないだけで、別に運転出来ないわけじゃなかった。

 ってそうじゃなくてっ!

「車、とか……密室……なるから」

 ダメって言おうとしたら「理人!」ってほっぺをギュッとつねられた。

 痛い……。
< 169 / 332 >

この作品をシェア

pagetop