僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
***

「――理人(りひと)……」

 と、診断書を握りしめたまま物思いにふけっていた僕に、葵咲ちゃんのか細い声がかかる。

「どうしたの?」

 黙り込んでいたら葵咲ちゃんが気にしちゃう。

 僕は気持ちを切り替えて顔を上げると、何でもないみたいに小首を傾げて見せた。

「あなたは……うつし、てしまったって……気にす、る……だろう、けど」
 葵咲ちゃんの言葉に僕は図星を突かれて言葉に詰まる。
「……でもね、わ、たしは……うつって良、かったと……思っ、てたり……す、るの」

 え?
 葵咲(きさき)ちゃんの言葉に僕は思わず彼女の顔を見つめる。

「うつって良かったとか……」
 何バカなことを――。そう続けようとしたら、葵咲ちゃんが僕に淡く微笑みかけるんだ。

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