僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
「セレが僕と葵咲(きさき)ちゃんの間に割り込んでこられたんだとしたら、それってキミが僕から離れていたからじゃないの?」

 ――それは由々しき事態だよね?


 いつもよりほんの少し低音で言葉が(つむ)がれるのは、理人(りひと)がたまに見せる、Sのスイッチが入った(あかし)


「キミが2度と僕から離れたりしなくなるように、お仕置きしなきゃね」


 日頃より若干低音だけど、どこか甘くとろけるような響きを持つ理人の声音に、「イヤ……」って小さくつぶやきながらも、私、抗えっこなっくて。

 言葉とは裏腹。
 心の中では「何をされちゃうんだろう?」って期待してしまってさえいるの。


「理人……」

 いつもより少し乱暴にベッドに組み敷かれながら、私は大好きな人の名前を熱い吐息にのせて呼ばずにはいられない。

 私にもっともっとアナタを刻みつけて。
 そう願いながら。


   END(2021/04/15)
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