僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
 だけど、理人(りひと)はそんな葵咲(きさき)に、小さく吐息を落とすと、

「葵咲()()()は、僕の言いたいことがちっとも分かってないよね。――僕は……キミの買い物に了見狭く制約をかけたいわけじゃない」

 (むし)ろ葵咲が理人に遠慮して、好きにものを自由に買えなくなるのは、彼の本意ではないらしい。
 無茶な買い物をするわけではない愛しいフィアンセが、たまに欲しいと思ったものぐらい、気兼ねなく買わせてあげられるぐらいの男でありたいというのが、理人の願いなんだとか。


 拗ねたように唇を引き結んだ理人が、目の前で戸惑いに瞳を揺らせる葵咲を、我慢出来なくなったみたいに抱き寄せて、ギュッと腕の中に閉じ込める。


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