僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
 まさか暑くて倒れてる!?

 てっきり理人(りひと)はリビングと続いたキッチンにいて、そこでゴソゴソしているとばかり思っていたから、そこにも彼の姿がないことに拍子抜けして、同時ににわかに心配になってくる。

 台所で手洗いを済ませてふと見ると、IHの上には鍋がかかっていて、どうもホワイトシチューが煮込まれているみたい。
 こんな暑い中で料理をしたのかな?
 結構しんどかったんじゃないかしら。

 蓋をあけてみるとホカホカと湯気が立ち上って、まだ熱々だ。
 メインの具材は私の好きなお魚(サーモン)
 美味しそうだけど、この暑さの中で食べるのは少ししんどいかも?

 この感じからすると、絶対つい今し方まで理人、ここにいたよね?と推察する。

 ふと見るとソファの上に今朝理人が着ていたTシャツが置いてあって。
 暑くて脱いだのかな?

 そう思ったけれど、抜け殻だけで肝心の〝中身〟がいない。

「理人、どこ?」

 呼びながらキョロキョロしてみたけれど付近に彼の気配はなくて。

 とりあえずベランダはどうだろうと掃き出し窓に近づいてみたら、全開にしてあったけれど理人はいない。

 やはりエアコンが故障したのは確実みたい。
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