僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
ベッドから降りちゃダメだよ?
『ねぇ、葵咲、もうお風呂入った?』
ふと話題を切り替えるように唐突に理人からそう問われた葵咲は、いきなり何事?と思ってキョトンとしてしまう。
ニャーンと甘えてきたセレをよしよし、と撫でながら「さっき上がったところ」と答えたら、理人が電話口で何か思案しているように黙り込んで。
「……理人?」
それを不思議に思った葵咲が理人の名を呼んだと同時、理人が『今ってさ、セレ、そばにいる?』と聞いてくる。
何の脈絡も感じられないその言動に、葵咲はますます混乱させられる。
「今、膝の上に乗って甘えてるけど……どうして?」
問えば、『セレを下ろして寝室に行ける?』とか。
「えっ。何なの理人?」
ますます意味が分からなくて、葵咲がそう問うのだけれど。
『いいから。お願い、葵咲。僕の言う通りにして?』
理人は何の説明もしてくれない。
葵咲は疑問符満載の頭のまま、理人の指示通りセレを膝の上から下ろすと、寝室に向かった。
閉めていた扉を開けて寝室に入ると、誰もいない室内の空気はひんやり冷えていて寒々しくて。
理人がいないだけでこんなにもこの部屋は温もりを欠いてしまうんだ、と今更のように実感させられた葵咲だ。
ふと話題を切り替えるように唐突に理人からそう問われた葵咲は、いきなり何事?と思ってキョトンとしてしまう。
ニャーンと甘えてきたセレをよしよし、と撫でながら「さっき上がったところ」と答えたら、理人が電話口で何か思案しているように黙り込んで。
「……理人?」
それを不思議に思った葵咲が理人の名を呼んだと同時、理人が『今ってさ、セレ、そばにいる?』と聞いてくる。
何の脈絡も感じられないその言動に、葵咲はますます混乱させられる。
「今、膝の上に乗って甘えてるけど……どうして?」
問えば、『セレを下ろして寝室に行ける?』とか。
「えっ。何なの理人?」
ますます意味が分からなくて、葵咲がそう問うのだけれど。
『いいから。お願い、葵咲。僕の言う通りにして?』
理人は何の説明もしてくれない。
葵咲は疑問符満載の頭のまま、理人の指示通りセレを膝の上から下ろすと、寝室に向かった。
閉めていた扉を開けて寝室に入ると、誰もいない室内の空気はひんやり冷えていて寒々しくて。
理人がいないだけでこんなにもこの部屋は温もりを欠いてしまうんだ、と今更のように実感させられた葵咲だ。