僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
葵咲(きさき)?』

 急に黙り込んでしまった葵咲に、理人が心配そうに呼びかけてきて。

 原理的にはそうなのかも知れないけれど、葵咲は通話の先には大好きな理人がいるのだと思った。

 だって、今こうして葵咲に語りかけてくる声は、大好きな理人の言動そのものだったから。

 なのに実際は〝偽物の声〟だなんて、頭が混乱してしまう。


「ご、ごめんね。ちょっと考え事しちゃってた」

 素直に言ったら『僕と通話中なのに?』とどこか拗ねた声。

 そりゃそうだ。
 葵咲が理人に同じことをされてもちょっとムッとしてしまうかも。

「本当にごめんね」

 しゅんとしてもう一度謝ったら、理人が電話の向こうでクスッと笑った気がした。

「――理人?」

 恐る恐る問いかける葵咲に、理人が嬉しそうに言う。

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