僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
『本当に悪いと思ってくれてる?』

 顔は見えないけれど、ホテルの一室で理人が悪い笑みを浮かべているのがありありと見えるようで、葵咲は我知らずゾクッと肩を震わせる。

 これ、理人が〝ドSモード〟のスイッチが入った時の雰囲気に似ている、と思ったからだ。

 でも、理人がそうなるのはほぼベッドの上だった気がするのに。

 そこまで考えて、自分が今、理人の指示で寝室のベッドの上に誘導されていることにふと気がついた葵咲だ。

(もしかして――)

 嫌な予感にベッドから降りようとしたら、まるで全てお見通しみたいに理人が言うのだ。

『葵咲、ベッドから降りちゃダメだよ?』
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