僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』

テレフォン……

「えっ?」

 理人が何を言っているのか理解できなかった葵咲(きさき)だ。

 思わず間の抜けた声で聞き返したら『今から電話で僕とエッチしょう』と先ほどよりかなり直接的な言葉で理人が言い直してきた。

「あ、あのっ」

 これは冗談か何かだろうか?と思った葵咲だ。

 でも、理人は至極真剣みたいで。

『ねぇ葵咲ちゃん。いまキミは僕の言いつけを守ってベッドにいるよね?』

 と声のトーンを低めてくる。

「いっ、いるけどっ」

『パジャマは前開き?』

 突然そんなことを聞かれて、自分の姿を見下ろしながらバカ正直に「そうだけど」と答えてしまってから、自分の不甲斐なさに心底呆れた葵咲だ。

 途端電話口、理人が嬉しそうにクスッと笑う気配がして――。
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