僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
***

 翌朝、僕はいつもより少し早めに大学図書館(しょくば)へ出向いた。
 昨夜は前半グダグダな精神状態で飲んだわりに、今朝、二日酔いなどになることなく快調だったのは、葵咲(きさき)ちゃんに会えるという気持ちのお陰かもしれない。

 職場に着くとすぐ、僕は数日間館長である自分が不在になっても困らないよう諸々の手配を終えた。不在の間の学生バイトたちにも、図書館業務が滞ることがないよう、各々個別に連絡して指示を出しておいた。

 そうしておいて、ずっと使っていなかった有給休暇を取得して、僕は颯爽と葵咲ちゃんのもとへ旅立ったんだ。
 少しでも早く葵咲ちゃんに会いたかったから、新幹線よりも圧倒的に時短が可能な飛行機を使うことにして。

 夜のうちに、予めネットでカーナビ付きのレンタカーも予約しておいたので、あちらに着いたら自力で葵咲ちゃんを迎えに行けそうだ。
 レンタカー自体は空港そばですぐに借りられるみたいで申し分なかった。ホント何でもネットで手配できてしまう。便利な世の中だ。

 連休中と言うわけではなかったので、宿も難なくスムーズに取れた。
 葵咲ちゃんの滞在先がどの辺りなのかは分からないけれど、まぁ車があればなんとでもなるだろう。

 僕は飛行機の中での一時間半余り、葵咲ちゃんに会える嬉しさでずっとソワソワしっぱなしだった。

 本当は昼前に出発する便に乗りたかったんだけど、図書館でのあれこれを考えると厳しそうだったので、手配したのは17時半の便で。

 あちらへ着くのは19時過ぎになる。
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