僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
 人工的な灯りのもと、スッと目を細めて見つめた先――。

 恐らく小さいほうは葵咲(きさき)ちゃんの友人の女の子。姫カットされたストレートの長髪が、まるで『竹取物語』に出てくるかぐや姫の挿し絵みたいだ。

 まぁ、その子はとりあえずいいとして……かぐや姫の隣の従者みたいな男、誰だよ。

 葵咲ちゃんのそばに異性がいたと思うだけで、無条件にモヤモヤした僕だったけれど、そう言えば……と思い直す。

「ききちゃん、彼氏さん予定通りに到着なさって、本当に良かったのですっ」

 僕が口を開くよりも先に、かぐや姫がそう言って葵咲ちゃんにニッコリ笑いかけた。

 その声に、僕の腕の中で葵咲ちゃんが身じろいで、恥ずかしそうに手の中からすり抜けてしまう。

 あー、すっごく残念。葵咲ちゃん、そういう照れ屋なところも可愛いけれど、僕はもう少しキミを抱きしめていたかった!

 それにしても、なんか不思議な雰囲気の女の子だ。
 こうして見ると、彼女も目が大きくて愛らしい美人さんだ。けど……まぁ、葵咲ちゃんの方が断然魅力的だな。

 そんなことを思っていたら、姫の後ろの従者から物凄い威圧的な視線を感じてしまって、わー、この人、僕と同類かも……とか思ってしまった。

 とりあえず、彼らに向かって軽く会釈をしたら、あちらもまぁ大人だ。
 ふっと視線を緩めてきて。

 絶対この人も僕の葵咲ちゃんと自分の姫を比べて、うちの彼女の方が……とか思った口だ。
 そう思ったら自分のことは棚に上げてモヤッとしてしまった。
 僕の知らない所で僕の葵咲ちゃんを他の男に値踏みされるとか、考えただけで腹立たしいんだけど。
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