僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
***

「あ、あのっ、紹介するね。こちら、私のお友達の藤原(ふじわら)……じゃなくてっ、えっと、塚田(つかだ)日織(ひおり)ちゃん。で、ひおちゃんのそばにいらっしゃるのが……ご主人の塚田修太郎(しゅうたろう)さん」

 葵咲(きさき)ちゃんのたどたどしい紹介で、ああ、そっか……この2人は入籍したばかりだったっけ、と思う。
 いま葵咲ちゃんが言い間違えそうになった藤原、というのがかぐや姫――もとい日織さん?の旧姓なんだろう。
 僕らも入籍したら葵咲ちゃん、池本葵咲になるんだよねと思ったら、思わずニヤニヤしてしまいそうになる。

 と、向こうが「はじめまして」と頭を下げてきたので僕も慌ててもう一度軽く頭を下げておいた。

「で、彼が……その……」
 ちょっ、葵咲ちゃん、なぜそこで照れるんだよっ!
 ホント勘弁してよ。めちゃくちゃ可愛いくて困るじゃないかっ。

「――丸山葵咲(まるやまきさき)()()()()池本理人(いけもとりひと)です」

 今し方、葵咲ちゃんが僕の奥さんになることを夢想してしまった結果、僕は言わなくてもいいのにわざわざ“婚約者の”とつけて自己紹介してしまった。

 心の中では葵咲ちゃん可愛いすぎるだろっ!と叫びまくりの僕だけれど、表面上は努めてスマートに?名乗ったつもりだ。
 僕のせいで()()葵咲ちゃんが恥をかくとか絶対に嫌だからさ。
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