僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
***

「でね、理人(りひと)。私、久しぶりに彼女に会いに行きたいの」

 調べてみたら、私たちの住んでいるところから、彼女の住む本州の端っこの県まで、車で十時間前後、新幹線で五時間ちょっと、飛行機で一時間半みたいで。

 それを話して、
「さすがに行くなら時間的に車はないかな?って思ってて……」
 と言った。

 そうなると、交通費ももったいないし、今回は一人で。
 そういうつもりで恐る恐る数日間不在になる可能性を示唆(しさ)しつつ、「飛行機で行こうかな?って思ってるんだけど……」と切り出したのだけれど。

「飛行機だと一人片道二万くらいだっけ?」
 とあっさり返ってきて、一人当たりを聞くってことは……とハッとする。

「あっ、あのね、あのね。さすがにすごく経費がかさむし……私向こうへ行ったらひおちゃん()にお泊まりさせていただく予定だし……今回は一人で行こうかな?って」
 思ってるんだけど……。

 ゴニョゴニョなりながらそう言ったら、理人がすごく悲しそうな顔をした。

 いや、ちょっ、何でっ。
 子供じゃないんだからたまには別行動もいいんじゃないかしら?
< 6 / 332 >

この作品をシェア

pagetop