名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~
「こんにちは。私、夏希ちゃんのいとこの紗月です。元カレさん」
紗月がにこやかに将嗣に挨拶をしている。
「夏希の元カレの園原将嗣です」
将嗣が挨拶を返した。いや、二人とも「元カレ」表記オカシイでしょう。
仕方ないので椅子をすすめて、お茶を入れた。
「夏希の入れてくれたお茶は美味しいなぁ」
将嗣はわざとらしい程、お茶を堪能している。
まあ、お茶は美味しく入れられるけど。
「このどら焼き、こんなに美味しいの初めて食べた」
紗月は、将嗣のお土産のどら焼きに舌鼓を打つ。
なに、このカオスな状態……。
「美優ちゃん、おいで、相変わらず可愛いなぁ」
将嗣は、美優を抱き上げ膝の上に乗せあやし始めた。美優も構われて楽しそうにキャッキャとはしゃいでいる。その様子をもうご勝手にの気持ちで眺めていた。
「へぇ、園原さん、ちゃんとパパしているんだ」
「にわかパパだけどね」と将嗣が笑う。
「園原さん、急にパパだって知ってどう思いました?」
紗月ってば、なんて聞きにくい事をズバッと聞くのか、驚いたけれど聞いてみたいことでもあった。
「まさか夏希が俺の子供を産んでくれいたとは思ってもみなかったから、嬉しかったよ」
と、将嗣はふわりと優しい笑顔で答えた。
「園原さん、いい人だね。わりとイケメンだし」
「美優パパとして合格?」
「うん、合格!」
紗月と将嗣で勝手に合格を出して、だからなんだというんだ。