名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~

「紗月さん、あんまり夏希を責めないでやって、夏希と俺の関係が複雑になった原因は俺にあるんだ。夏希も良かったら前向きに田舎に行く事を考えてくれると嬉しい。もちろん紗月さんが一緒でも大丈夫だ。今日は帰るよ。じゃ、水曜日な」

「将嗣、私、無神経でごめん」
 ボソッと呟いた。

「夏希は悪くないよ」
 将嗣はそう言って美優を私に手渡し、私が顔を上げると悲しそうな顔で笑っていた。

 玄関で将嗣を見送った後、部屋に戻ると紗月が私に向かって言う。

「夏希ちゃんがシングルマザーになるって聞いた時、相手の男コノヤローって思っていたけど、会ってみたら園原さんいい人だね。ねえ、なんで園原さんじゃ、ダメなの? 今、フリーなんだし、美優にとって本当のパパなんでしょう?」

「紗月が、相手の男コノヤローって思った頃には、もう、気持ちの整理がついちゃったからね……。気持ちって、難しいね」
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