名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~

 腕の中にいる美優を見つめる。
 神様とは器用なもので耳の形やおでこから目のあたりまで将嗣に似て、唇や鼻は私に似ている気がする。両親それぞれのパーツを器用に混ぜ合わせて出来ている。こういうよく似た部分を意識した時、血のつながりを感じる。
 
「ごめん、ちょっと言いすぎちゃったね。さっきの話さ、私、一緒に行ってもいいよ。その代わり週末絡めてね」

「将嗣の実家かぁ。結婚もしていないで子供連れて行ったら結婚させられそうで気が重いんだよね」

「まあ、世間一般的には、そうだよね。でも、会えるウチに会って置いた方が良いと思うんだよね。美優ちゃんにとっては、おじいちゃんおばあちゃんになるわけだし」

 確かに、人の命の長さなんてわからない。後で会って置けば良かったと後悔してからでは遅いんだ。それに将嗣は、お父さんが病気療養中だと言っていた。

 紗月が帰った後、元気に動く美優を眺めていると複雑な気持ちになった。
 私にとっての幸せと美優にとっての幸せは違うものなのだろうか?
 子供を産んだら子供の幸せを考えるのは大切な事だけれど、自分の幸せを追い求めてはいけないのだろうか?
 やっと、気持ちが通じ合った恋を諦めないといけないのだろか……。
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