名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~
 自分の家のお風呂よりゆったりとしたバスルームに入ると、男性ならではシャンプーやアメニティーにもドキドキして、これは、これで、もう、落ち着かない。
 どうしたって、意識してしまう。

 しかし、いざ、美優とお風呂に入っていると危なっかしくて目が離せないし、自宅と違って幼児用のベルトが付いたお風呂椅子もない。
 転んで頭でも打ったら大事になってしまうから、手も目も離すことが出来ず、邪な考えも浮かばないほど、洗い場では必死で美優の体を洗い、広いバスタブの中で支えた。

 大急ぎで自分の体を洗って、美優がのぼせないうちにお風呂から上がった。ベビー用のお風呂イスがない状態でお風呂に入れるのが、こんなに大変だとは思わなかった。
 脱衣場で美優をバスタオルで包み。パジャマを着せる。自分もこの日のために買ったルームウエアを着る。
いつものスエット姿より少しは可愛く見えたらいいな。と思った。

「お先に、お風呂ありがとうございます」
 
「ちょうど、出来たよ」

 朝倉先生の笑顔と食欲をそそる香りに迎えられた。
 テーブルの上には、ベーコンとキャベツのクリームパスタ、サラダ、白身魚のカルパッチョが並んでいる。

「美味しそう。お料理まで出来るなんてすごい」

「簡単なものならね」

 朝倉先生は謙遜するけど
 イケメン・イケボ・才能・そして、料理まで

 尊い……。
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