名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~
 子育てと仕事の両立の大変さは、産まれた時より段々と増していく。
産まれる前は、体のバランスが悪かったり、体重が増えすぎたりの自分の心配だけだった。出産を終えれば、うつ伏せで寝ることが出来るとか、コーヒーが飲めるとか、お酒が飲めるとか、自由になる気がしていた。

 出産は、妊娠のゴールであるけれど、それ以上に長い子育てのスタートだったのだ。
 産まれてみれば、王様と召使? いや、下僕と言っていいほどの上下関係。
 赤ちゃん様さまに24時間お仕えさせていただきます。の、世界だった。

 産まれて直ぐは、3時間おきの授乳、その合間のおむつ替え、お風呂など、自由な時間はおろか睡眠時間さえもロクに取れない日々が続き、育ってくれば目が離せない事が増えていく。
 買い物などでも泣きだせば、早々に切り上げて帰り、荷物と子供を抱え足早に歩く。泣いている子供を抱えながら「こっちが泣きたいよ~」と何度思ったことか。
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