名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~
「痛い?」と聞かれたけれど痛みなんて無くて、重なる手の指に朝倉先生の指先が私の指に絡み、指の股をなぞったり、撫でたり、動きが何だか官能的でドキドキしてしまう。
首を傾けて覗き込まれた顔も艶があって色っぽい。
朝の病室で、変な想像をして一人でドキドキしている私って……。
やばい!
もう、絶対に顔が赤くなっている。
「し、翔也さん……。なんだか、触り方がえっちです!」
抗議の声を上げると朝倉先生は ククッと笑っている。
「人の事を揶揄って、ひどーい!」
頬をぷくぅっと膨らませてた。
「夏希さん、ずっと私に遠慮して話しているから……」
とまだ、クククッと笑い続けていた。
そうして、艶のある瞳が私を見つめ、軽いキスを落とす。
「夏希さん、私は焼きもちやきなんですよ」
「えっ?」
驚いていると、もう一度、唇が重なる。
唇を食むようなキスをされて、頭がボ―っとする。
「夏希さん、早く元気になってくださいね」
朝倉先生のイケボが耳に響いて、ボーっとしながら「はい」と呟いた。
「そろそろ、帰ります」
朝倉先生が病室を出て行くのを寂しく思いながら掛ける言葉を慌ててさがし、声を掛ける。
「翔也さん……ありがとう」
結局、気の利かない言葉しか出て来なくて自分の色気の無さにガッカリしながら、朝倉先生を見送った。