名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~
次に目が覚めると美優の泣き声が聞こえた。
あっ!と思って起き上がろうとすると体に痛みが走り、目を開けて病院に入院中だった事を思い出す。
「美優……」
小さく呟いて辺りを見回すと、赤ちゃん用の可愛いマグを持った将嗣が美優を抱えて美優のご機嫌を取っていた。
「あ、ごめん。起こしちゃったね。泣かしてごめんな。今、顔を拭くからな」
将嗣が美優を抱いたままで側に寄り、濡れタオルで私の顔をそっと拭く。
美優が小さな手を伸ばし「まま」と言うと、美優を抱けない状態をもどかしく思う。
涙の痕を拭うそっとあてられたタオルから将嗣の気遣いが伝わるような気がした。
「朝倉さん、夏希の事を心配していたけど、仕事があるって言っていたから帰ってもらったよ」
「うん」
「母さんの事、ごめんな。俺、何にも知らなくて嫌な思いをさせて……。夏希から美優を取り上げるような事は、絶対にしないから」
「うん」
「親父の介護で気持ちが荒れているんだろな。だからと言って、夏希を攻撃したのは間違いなんだけど、孫が可愛くなって手放したく無くなったんだろうな。ごめんな」
親の世代になると、そろそろ定年退職を迎える世代で、表からは見えなくても色々な問題を抱えている事が多い。将嗣のお母さんがは介護に疲れてストレスで当たり散らししたのだろうか。
辛い介護の中で、明るい陽射しのような孫の存在を手放したくなってしまった。それには、息子が結婚をすれば良いのだが、相手の女性には別の男性がいる。孫を取られるように感じたのかもしれない。
私にとって将嗣は『美優のパパ』で、好きだった人。
” もしもあの時 ”と思う事はたくさんあるけれど、私と将嗣の歯車は、いつも微妙に嚙み合わない。
空回りをしたり、軋んだり、運命の輪が上手く回らない。
あっ!と思って起き上がろうとすると体に痛みが走り、目を開けて病院に入院中だった事を思い出す。
「美優……」
小さく呟いて辺りを見回すと、赤ちゃん用の可愛いマグを持った将嗣が美優を抱えて美優のご機嫌を取っていた。
「あ、ごめん。起こしちゃったね。泣かしてごめんな。今、顔を拭くからな」
将嗣が美優を抱いたままで側に寄り、濡れタオルで私の顔をそっと拭く。
美優が小さな手を伸ばし「まま」と言うと、美優を抱けない状態をもどかしく思う。
涙の痕を拭うそっとあてられたタオルから将嗣の気遣いが伝わるような気がした。
「朝倉さん、夏希の事を心配していたけど、仕事があるって言っていたから帰ってもらったよ」
「うん」
「母さんの事、ごめんな。俺、何にも知らなくて嫌な思いをさせて……。夏希から美優を取り上げるような事は、絶対にしないから」
「うん」
「親父の介護で気持ちが荒れているんだろな。だからと言って、夏希を攻撃したのは間違いなんだけど、孫が可愛くなって手放したく無くなったんだろうな。ごめんな」
親の世代になると、そろそろ定年退職を迎える世代で、表からは見えなくても色々な問題を抱えている事が多い。将嗣のお母さんがは介護に疲れてストレスで当たり散らししたのだろうか。
辛い介護の中で、明るい陽射しのような孫の存在を手放したくなってしまった。それには、息子が結婚をすれば良いのだが、相手の女性には別の男性がいる。孫を取られるように感じたのかもしれない。
私にとって将嗣は『美優のパパ』で、好きだった人。
” もしもあの時 ”と思う事はたくさんあるけれど、私と将嗣の歯車は、いつも微妙に嚙み合わない。
空回りをしたり、軋んだり、運命の輪が上手く回らない。