名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~
別れた娘の父親を思い出すとイラッっとする。既婚者だというのに独身だと噓をついていた男なんてアテには出来ないのだ。
 別れた後に妊娠が発覚したからあの男は自分に娘がいる事すら知らない。

 一人で産んで育てると決めた以上頑張るしかない。
 肩がパンパンになろうとも寝不足でフラフラになろうとも一人でパパ役もママ役も両方こなさないとならない。

 やらなくてはいけない事が多すぎてパニックになりそう、だけど、受けた仕事だけはきっかり仕上げて、その後のことはなるようになれ。
 ボサボサの頭も散らかった部屋も出来る時に綺麗にすればいい。

 娘の様子を見ると、さっきまでぐずっていたのがやっと寝てくれそうな気配だった。ベビーベッドの上に娘をおろしホッと息をつく。

 仕事の続きをして、そうしたら少し寝よう。
 と、思っていた所で携帯電話の着信メロディーが鳴り出す。

「やだ、せっかく寝たのに勘弁してよぉ」

 着信履歴は朝倉翔也先生だった。
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