名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~
仕事の電話だ。娘の様子を伺うとフニャフニャ言いながらどうにか眠っている。その様子にホッとし、電話に出て変更点の打ち合わせを始めた。

 朝倉先生とも打ち解けて、今ではこうやって直接電話を貰う事も多くなっていた。
 そして、最初の頃に比べたらスムーズなやり取りできるようになっている。

 相手は、イラストが描けないから私に依頼をしてくれる。なので、リテイクを出されたら「どうしますか」ではなく「こうしてみたらどうでしょうか」と新たな提案を出してみる様にした。すると以前より変更後のイメージが掴みやすいのかリテイクが格段に減ったのである。

 アプローチの角度を少し変えるだけで、スムーズな意思疎通が図れるようになった。とは言え、少なくなっただけでリテイクは来る。

 作業台の上に置いてあるペンタブレットの前に移動しPC画面を確認しながら打合せをしていた。

 すると、フニャフニャ言いながら眠っていた娘が急に火がついたように泣き出してしまい、電話の声も途切れ途切れにしか聞こえず困り果ててしまう。

 大泣きする娘に私はパニックに陥った。
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