名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~
 泣き出した娘の所に移動しながら「ごめんなさい。後で折り返し……」と言ったところで転がっていた娘のオモチャに足を取られる。

「きゃっー!」

 ガシャ、ガチャンと派手に転んでしまった。

「痛ぁー」

 大きな音にビックリした娘は泣きじゃくる。手にしていた携帯電話はどこにぶつけたのか画面が無残にもひび割れ真っ黒になったままウンともスンとも言わなくなってしまった。
 
「うそっ。どうしよう」

 と、言っても携帯電話が復活するでもないし、娘は怒鳴るがなるように泣き続ける。

「泣きたいのは、私の方だよ」

 自分の言葉と共に涙がポロリと溢れ、本当に泣けてきた。

 壊れた携帯電話をチェストの上に置き、泣きながら娘を抱き上げ必死にあやした。
 
「美優ちゃんの泣き虫が移っちゃったよ。ママも泣き虫になっちゃった」

 娘と二人でわんわん泣いた、それだけ私は疲れていたのだ。
 やっと、落ち着いてきた娘を寝かし付けるとベビーベッドに寄りかかるようにいつの間にか眠ってしまった。
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