名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~
「生後10か月、妊娠10か月で1年8か月。俺たちが別れたのは、1年半前、夏希の倫理観からしてその頃付き合っていたのは俺だけ、という事は、美優ちゃんの父親は俺ってことだと思うけど」

 と、私の背中に将嗣が話掛ける。
 それは、普段話をしている時と変わらぬトーンだった。

 さあ、私、覚悟を決めろ!
 
  腕の中で眠った美優を抱いたまま衣類を整えた。
 そして、意を決して告白した。

「今まで黙っていてごめん。将嗣が言っている通り、美優は将嗣の子供だよ。別れてから赤ちゃんが出来たのが分かったのだけれど、既婚者の将嗣に言っても堕胎する事になりそうで、怖くて言えなかった。だから、黙って産んだの……」

 想いを吐き出すと何の感情かわからない涙が落ちる。腕の中でスヤスヤと眠る美優の重さや体温の温かさが愛おしい。

 すると、将嗣の腕が後ろから私と美優を包み込むようにそっと抱きしめてきた。
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