名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~
「夏希、俺の子供を産んでくれてありがとう。夏希が俺に言えなかったのは無理もない俺が悪かったんだ。この前、区役所で夏希が子供を抱いているのを始めて見た時、凄くショックを受けた。
 他の男の子供かと思うと胸が焼けそうな思いに駆られた。あの後、区役所の案内版に乳幼児健診9、10か月って書いてあるのを見て、もしかしてって思ったんだ。ココに引っ越してきたのだって、偶然、夏希に会えるかもって思ったからなんだ。ヤバいだろう」

 これって もしかして、告白されている?
 私は、将嗣に美優の事を黙っているのは良くないと思っていたし、
 『美優は将嗣の子供だよ』って、伝えるだけで良かった。
 将嗣と復縁する気なんて無かった。

 1年半の月日の中、やっと確立された状況と気持ちの変化のバランスがグラグラと崩れていく。
 どうしたらいいんだろう。

 抱きしめられたままの私は、やっとの思いで言葉を吐き出した。

「……美優のことを受け入れてくれてありがとう。この先のことは、少し考えさせて。私たちは、別れているんだし気持ちの整理がつかないの。放してくれる?」
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