すてられた想い人をなぐさめたら、逆に私がひろわれました!?
「家に来てもらったことがあるのも、手作りのお菓子を振る舞ったことがあるのも、一緒にいて幸せだなって思えるのも、柳川(やながわ)だけだよ?」


 何も、特別はそのさんだけに存在していたわけじゃない。
 むしろ、私の中では貴方の方がよっぽど〝特別〟。


 心の中でそう付け足して、彼を見上げたままニコッと笑ったら、柳川が慌てたように私を抱く腕を解(ほど)いてクルリと後ろを向いた。

 暗くてよく見えないけれど、口元に手を当てて表情を半分隠しているの、照れ隠しだったりする?とか……バカみたいに自惚(うぬぼ)れても……いい?



「柳川は……大失恋をしたばかりだったから……。だから私……。弱(・)っ(・)て(・)る(・)貴(・)方(・)に(・)付(・)け(・)込(・)む(・)み(・)た(・)い(・)なことしたくなくて言えなかったの」


 一歩踏み出して柳川のすぐ背後に立って。

 柳(・)川(・)に(・)だ(・)け(・)は(・)どうしても言えなかった理由をちゃんと前置きして。

 後ろからその大きな背中にギュッと抱きつきたい衝動を抑えながら、私、ひとつひとつ慎重に言葉を選んだ。
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