すてられた想い人をなぐさめたら、逆に私がひろわれました!?
「お願い、ヒロ……。じかに触れ、て?」

 気が付くと彼を見上げてそう口走ってしまっていて。
 自分でも、自分が発した大胆な言葉に驚いたけれど後の祭り。

 私のはしたないお強請(ねだ)りに、ヒロが一瞬だけ驚いたみたいに瞳を見開くと、でも次の瞬間には自分が着ていた黒のプルオーバーを脱ぎ捨てていた。

「――っ!」

 男の人の上半身は、別に隠したりするようなものではないと知っているのに。
 なのに間近でヒロの半裸を見るのは初めてだったからかな。
 物凄く照れてしまった。

 恥ずかしさに思わず顔を覆った私の手首を掴むと、ヒロがそれをいとも簡単に引き剥がしてしまう。

「ヒ、ロ……?」
 
 ソワソワしながら彼の名を恐る恐る呼んだら、「コト、俺のことも触って?」って切なげに吐息を落とすの。

 さっき私がしたみたいに握られた私の手を、そのまま彼の胸元に引き寄せられた私は、固くて温かくて滑らかなヒロの肌を手のひらに感じて、心臓がトクトクと跳ねた。

 手のひらの下、ヒロの心臓も同じように忙(せわ)しなく鼓動を刻んでいるのに気が付いた私は、それを確認するみたいに手のひらを滑らせて。

「っ、!」

 私の指先が彼の胸の小さな突起を掠(かす)めた瞬間、ヒロが小さく吐息を漏らしたのが分かって、私はそのことにキュンとする。
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