すてられた想い人をなぐさめたら、逆に私がひろわれました!?
 ヒロが脱衣所に引っ込んだ気配にベッドから急いで降りようとして――。

「ぁ、えっ……?」

 肌掛け布団にくるまったまま床に足を下ろして立ち上がったら、思いのほか全身に力が入らなくてふらりとよろめいた。

 下腹部にまだ何かが挟まっているような違和感に、私、さっきまでヒロをここに受け入れて……って思い出して一人その場で転げ回りそうなくらい恥ずかしくなる。

 ふと視線を下ろしたら、胸の膨らみにポツンと数カ所、仄紅(ほのくれない)にキスマークが刻まれていて。

 ヒロが私のことを〝俺のだ〟って主張してくれているみたいに思えて、照れの中じんわりと身体が幸せな温かさに包まれた。


 とりあえず、布団にくるまったまま汚れたシーツをいそいそと剥がして脱衣所に向かうと、

「ヒロ、タオル、出しておくね」

 さもタオルを用意しに来ました!みたいな(てい)でバスルームのヒロに声を掛けながら今しがた外したばかりのシーツを洗濯機に放り込んだ。

 そうしてふと視線を上げて――。

「――ッ!!」

 曇りガラス越し、薄ぼんやりとヒロの裸体らしきシルエットが目に入って真っ赤になる。

 お風呂の扉は磨りガラス仕様になっているから、双方ともにぼんやりとお互いの姿形が見える程度だけど、裸のヒロが扉一枚隔てた向こうにいるんだと思ったら凄くドキドキして。

 ――私を見下ろすヒロ、男らしくてカッコよかったな。

 さっき、大好きな彼と恥ずかしいことをたくさん経験したんだという記憶と相まって、彼の(たくま)しい二の腕や、私を切なく呼ぶ甘い声までもが脳裏に蘇ってきた私は、慌てて首を振ってそれらを頭から追い出した。
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