すてられた想い人をなぐさめたら、逆に私がひろわれました!?
「ヒロ……。えっと……どっ、どうしちゃった、の、かな?」

 かろうじて、しどろもどろになりながらもそう言ったら、ヒロが私を抱きしめたまま言うの。 

「コト、俺、本当お前がどうしようもなく好きだ」

 うそっ。
 何でいま、この状態でそんな嬉しいセリフ!

 格好がまともならヒロの方を振り返って「私も!」って彼に抱きついてキスしたい!
 でも、この姿のままじゃ無理だよぅ。
 ヒロの意地悪っ。

 あれこれ考えて何も応えられずに彼の腕の中、背中越しにヒロの温もりを感じながらフルフルする私に、ヒロがまるでそのまま聞いて欲しいと言わんばかりに続けるの。

「コトが……俺が花々里(かがり)にフラれたあの日。俺のことを気に掛けてくれて本当よかった。――カッコ悪くて言えなかったけど……あの時の俺、何もかもから捨てられたみたいな気になって、結構自暴自棄だったんだ。授業だってどうでも良くなって全部サボっちまったし――」

 そこで私を抱く腕にギュッと力をこめると、

「コトがあの時、変形菌(モジホコリ)に逃げてた俺にわざわざ手を差し伸べてくれなかったら。きっと今でも俺、花々里(かがり)のことを忘れられずに腐ったままだったと思う。――どうにもならねぇの分かってて、きっと馬鹿みたいにくすぶり続けて往生際の悪い男に成り下がってた」

 ヒロの言葉を聞きながら、私の心臓はうるさいくらいに騒いでいて。

 あの日、勇気を出して大好きなヒロを決死の覚悟で飲みに誘ったの、間違いじゃなかった?
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