すてられた想い人をなぐさめたら、逆に私がひろわれました!?
「コト、花々里(かがり)に捨てられた情けない俺を拾い上げてくれて有難うな」

 私の耳に直接吹き込まれるみたいなヒロの低音ボイス。

 頬に触れるヒロの柔らかな髪の毛の感触。

 それら全てがこれは夢じゃないんだと私に突きつけてくる。


「ヒロ。貴方に拾われたのは……私のほうだよ?」

 もうこの際、タオルケットの下、汚れたままの裸なことにも目をつぶろうって思った。

 私、ちゃんとヒロの目を見て話したい!

 私はヒロの腕の中で身じろぐと、ゆっくりと彼の方へ向き直った。

「ヒロ。1年生の時からの私の片思いを成就させてくれて有難う! ヒロが……私の隣で笑ってくれる日が来るなんて、夢みたいです!」


 私の、切ないくらいのあの気持ちは……きっと叶うことなく大学卒業とともにあやふやになるんだとずっとずっと思ってた。

 ヒロが……。馬鹿みたいに真面目で一本気なヒロが……。まさか幼なじみちゃんへの気持ちを断ち切って私の方を向いてくれるなんて、思いもしなかったから。

 だから。

 貴方に拾われたのは……貴方に救われたのは……きっと私の方なのよ?

「ヒロ、私を選んでくれて有難う! 大好きだよ!」


 くるまったタオルケットが身体から落ちないように気を付けながら、私はギュッとヒロにしがみついた。
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