すてられた想い人をなぐさめたら、逆に私がひろわれました!?
***

「ごめんね、ヒロ。わざわざ来てもらっちゃって」

 一応もしもに備えて水やパンを買い込んで言凛(ことり)の元へ戻ると、彼女が開口一番そんな風に言って眉根を寄せる。

 付き合い始めの頃は、寛道(ひろみち)の幼馴染みの女の子同様オリーブベージュ色に染められていた髪も、今は出会った頃のような黒髪に戻っている。
 ゆるふわな印象を与えていたゆるめのパーマもやめたのか、綺麗なストレートだ。
 髪がまっすぐに伸ばされた分、以前より少し長くなったように見えるけれど、実際には毛先を少し切り揃えたため短くなっている。

 これ、寛道が自分自身を見てくれるようになったことで、彼の好きだった女の子を真似る必要がなくなったと言凛が感じたからなのだが、寛道はそのことに気付いていない。

 ただ、「黒髪ストレート、コトに似合うな」と思っているのは確かで。

 今だって、寛道は憂いを帯びた表情で自分を見上げる言凛(ことり)のことが、愛しくてたまらないと感じている。

「バーカ。俺はコトん()に泊まれる口実が出来てラッキーだって思ってんだよ。朝までふたりきりとか最高じゃね?」

 本心からの言葉でニヤリと笑うと、言凛が恥ずかしそうに視線を彷徨(さまよ)わせた。
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