すてられた想い人をなぐさめたら、逆に私がひろわれました!?
 ねぇ、柳川(やながわ)、どうしちゃったの?
 何でそんなに怖い顔してるの?
 寛道(ひろみち)って呼ぶのが……そんなにいけないことだったの?

 あの子以外にはそう呼ばれたくなかった……?


 私を見下ろす柳川の表情が冷たくて、私はどう答えるのが正解か分からないままゆらゆらと瞳を揺らす。


 でも、今の柳川相手に、下手な嘘は通用しないって、それだけは分かった――。


「今日大好きな女の子を前に一生懸命頑張ったのは……柳川(やながわ)……って言うより〝柳川寛道(ひろみち)〟っていう男の子だって思ったの……。だから――寛道って呼ばなきゃ意味がないと思ったの」

 自分でもはっきりとは分からない曖昧な気持ち。
 こんな下手くそな説明で、伝わるかな。

 すごく不安だったけれど、それ以上どうやってこの感情を言い表したらいいのか、私には分からないの。

 つくづく自分の表現力のなさを痛感させられて嫌になる。
 子供の頃から変形菌のことばかりで、他はそこそこでいいやっておざなりにしてきたツケが回ってきたのかな。
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