すてられた想い人をなぐさめたら、逆に私がひろわれました!?
 ない語彙(ごい)力を駆使して必死にアレコレ言ってみたけれど、柳川(やながわ)はうつむいたまま何も言ってくれない。

 だから私はどうしたらいいかますます分からなくなって、更に言葉を探したの。


 そうして、もうある程度本心を(さら)け出すしか道がないって思い至った。

 そのことが後で自分の首を絞めることになるなんて思いもせずに。


「じ、実は私もね、その……大学へ入学してからずっと……片想いしている相手がいるの。……でも私は意気地(いくじ)なしで卑怯者だから……柳川みたいに正々堂々とその人にぶつかれないでいるの。……今度こそって何度も何度も思うくせに、気が付いたら曖昧に濁した言葉しか伝えられなくて……。でも……そんな誤魔化しだらけの言葉に対してでさえ……どうしようもく相手からの反応が怖いって思うから。――だからね、ちゃんとぶつかって……相手からの返事を受け止めた柳川のこと……純粋に凄いな、偉いなって思ったの」

 ねぇ柳川。
 私の言葉、ちゃんと届いてる?
 お願いだから……私の方を見て?
 さっきから私、ひとりで喋り続けてるみたいですごくすごく寂しいよ。

 そんなことを思いながら、一生懸命柳川の顔を仰ぎ見るけれど、今の柳川の表情は髪の毛に隠れていて。
 下から見上げてもよく見えないの。

 唯一そんな柳川の反応が知れるのは……時折私の腰に回された腕に微かに力がこもること。

 ね、……きっと聞こえてはいるんだよね?

 そう信じて話、続けても……いい?
< 32 / 172 >

この作品をシェア

pagetop