すてられた想い人をなぐさめたら、逆に私がひろわれました!?
聞こえないふりをして立ち去ろうとした私の手を、大きくて骨張った手が繋ぎ止めた。
「その、さん……」
振り返らなくても分かる。
追いかけてきてくれたのが柳川ではないこと。
園村 究――通称そのさん――は、ゼミに入ってすぐ『菌次郎』に教授が連れて行ってくれた際、私の正面に座したことが縁でアレコレ話しかけてくれるようになった4年の先輩だ。
懇親が目的の集まりだったから、席順がくじ引きで決められてしまい、私は話し慣れた柳川と席を離されて戸惑った。
元々、慣れない人と会話をするのが得意ではない方で、どちらかと言うと人見知り。
そんな私を、たまたま真向かいに座ったそのさんが気遣ってくれて――。
ゼミで唯一の女子とはいえ、当時の私は黒縁眼鏡に長く伸ばした髪をすいたり染めたりすることもせず、ただひとつに編み込んだだけ。
お世辞にも華やかとは言えないばかりか、どちらかというと野暮ったい根暗女子だったはずだ。
そんな私に、そのさんは線引きすることなくにこやかに話しかけてくれた。
「そんなガチガチに緊張せんでも大丈夫よ? あ、俺、4年の園村究。花園の園に、ビレッジの村。下は研究の〝究〟って字書いてキワム、ね。――研究者っぽくてよかろ?」
「その、さん……」
振り返らなくても分かる。
追いかけてきてくれたのが柳川ではないこと。
園村 究――通称そのさん――は、ゼミに入ってすぐ『菌次郎』に教授が連れて行ってくれた際、私の正面に座したことが縁でアレコレ話しかけてくれるようになった4年の先輩だ。
懇親が目的の集まりだったから、席順がくじ引きで決められてしまい、私は話し慣れた柳川と席を離されて戸惑った。
元々、慣れない人と会話をするのが得意ではない方で、どちらかと言うと人見知り。
そんな私を、たまたま真向かいに座ったそのさんが気遣ってくれて――。
ゼミで唯一の女子とはいえ、当時の私は黒縁眼鏡に長く伸ばした髪をすいたり染めたりすることもせず、ただひとつに編み込んだだけ。
お世辞にも華やかとは言えないばかりか、どちらかというと野暮ったい根暗女子だったはずだ。
そんな私に、そのさんは線引きすることなくにこやかに話しかけてくれた。
「そんなガチガチに緊張せんでも大丈夫よ? あ、俺、4年の園村究。花園の園に、ビレッジの村。下は研究の〝究〟って字書いてキワム、ね。――研究者っぽくてよかろ?」