すてられた想い人をなぐさめたら、逆に私がひろわれました!?
***


「――ちゃん、……りちゃ……、とりちゃん、おーい、言凛(ことり)ちゃぁ〜んっ?」

 目の前でふわふわと手を振られて、私はハッとする。

「ボォーッとしちょったけど、大丈夫?」

 見るともう柳川(やながわ)の姿はなくて。

 究(きわむ)さんが眼鏡越し、心配そうに私の顔を覗き込んでいた。

 私はというと、未だ究(きわむ)さんの白衣――の胸ぐら――を掴んだままで。

「あっ、ごめんなさいっ」

 田中先輩が呼んでいらっしゃるというお話だったのに、私が白衣を握りしめたまま固まってしまっていたから、究(きわむ)さんは動けずにいたんだ。

 それに気がついて慌てて手を離したら、究(きわむ)さんが心配そうに私の頭に手をのせた。

「な、俺の勘違いだったらええなって思うんじゃけど――」

 眉根を寄せてじっと顔を見つめられた私は、ぼんやりとした目で究(きわむ)さんを見つめ返した。
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